医師による「そけいヘルニア」情報サイト

ヘルニアネット
このサイトで取り上げるヘルニアについて 医師としての想い
ヘルニアと聞けば椎間板ヘルニアを連想する方も多いでしょうが、ここでは腹部にできるヘルニア、特に成人のそけいヘルニア(脱腸)を中心に、情報提供します。

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プロフィール
十川康弘写真
上都賀総合病院外科 病院長
 千葉大学医学部臨床教授
 
専門医、医学博士、所属学会等〜
日本外科学会 指導医、専門医
日本消化器外科学会 専門医、指導医
日本消化器病学会 専門医、指導医
医学博士 ほか
 
医師としての想い
 
最近の日記/コラム
 

 

新人外科医の初執刀/涙ぐましい努力…20年前の手術
 鼠径ヘルニアは、ほとんどの場合腸の一部がでっぱってくるもので、消化器外科で対応されているものです。
消化器外科では、アッペ、ヘモ、ヘルニア(それぞれ急性虫垂炎、痔、脱腸の業界用語)といって、比較的頻度の多い小手術の代表とされています。
外科医になって最初に執刀を許可されることが多く、生命に関わることが少ない手術の代表とされてきました。
私も新人の1年目にアッペを先輩の指導で執刀させてもらいました。
ヘルニアの執刀は2年目で、23年前の当時は男性には、バッシーニ法といって、ヘルニアの袋を根元で切り取ったのち、ヘルニア門と呼ばれる隙間の上下の筋膜組織を強引に寄せて縫い合わせていました。
この方法で90%以上の患者さんは治癒するのですが、手術直後や時に10年以上経過してから再発する場合もあり、医師として勘どころの押さえにくい手術でした。
 
理解の深まり/腹腔鏡手術の始まり
 12年ほど前、当時の先輩医師が国内での先駆けのひとりとして腹腔鏡下手術を始めました。
臍の下と両サイドに5mmから1cmの穴を3ヶ所あけて内視鏡をお腹の中へ入れてテレビに映しながらマジックハンドのような鉗子2本で手術をします。
この映像を見て、ヘルニアの構造的、解剖学的な理解が深まった外科医が多かったと思いますが、私もそのひとりでした。
この手術方法の開発から、鼠径ヘルニアにメッシュと呼ばれるポリプロピレン製の生体用の布を防波堤として体内に埋めこむようになりました。
この人工布は既にその他の疾患の手術に長年使われていたものです。
しかし当時、従来法が比較的安全な腰椎麻酔で行われるのに対して全身麻酔で行う必要があることなどの問題で私個人は必ずしも賛成できないと考えていました。
この腹腔鏡下手術は国内では限られた病院で行われており、世界的にも主流とはいえませんが、選択肢のひとつではあります。私は再発など条件を絞った適応と考えています。
 
メッシュ・プラグとの出会い/ラーニングカーブ(習熟曲線)の途中で
 7年ほど前、メッシュプラグに出会いました。
既に、腹腔鏡下手術の経験から体内に人工布を埋めこむことに対する医師としての心配は少なくなっており、この方法を採用することにしました。
どのような外科医も手術を習得するためには、技術的にラーニングカーブという習熟曲線を昇っていかねばなりません。
技術的安定期に入るまで、さまざまな項目をチェックして行きます。
機会があるたびに、同業の外科医の考えに耳を傾けますが、多かれ少なかれ再発や合併症など苦い経験をしているようです。
 
基本は一泊入院/日帰りも可能にしたメッシュ・プラグ法
 この当時まで、ヘルニアは前日までに入院し、術後1週間で抜糸して退院というスケジュールでした。
それ以前に行っていた組織縫縮法(バッシーニ法など)は患部に無理な力がかかると裂けやすく再発してしまうので、1週間の床上安静を要していました。
メッシュプラグ法は腹部を支える壁としての強度に安心感があり、術後の安静を必要としないのが特徴のひとつです。
入院期間の短縮化を検討し始めたところ、麻酔科医師が前任の病院でヘルニアの日帰り手術を経験しており、そのノウハウを参考にして試行してみることにしました。
当初、日帰りに拘って当日夜退院するコースを勧めていましたが、ほとんどの方が、1泊入院を希望し、当日帰宅される方より翌日のほうがかなり楽になることから、基本を1泊、日帰りをオプションとすることにしました。
 
ダイレクト・クーゲル法へ/確信を持って手術
 2004年12月にダイレクト・クーゲルが国内で認可されました。
メッシュプラグ法で、想定外の再発を経験したため、全面的にダイレクト・クーゲル法に切り替えました。
ダイレクト・クーゲル法は、腹膜と腹壁の間に広くメッシュを設置する方法で、腹腔鏡法やクーゲル法と同じ仲間です。
手術方法は、アプローチがメッシュプラグ法と同じため習得が容易で、ヘルニアの中心部から周辺へ向けてメッシュを広げる安定感があるのが特徴です。
再発や見逃しの原因になる、稀な並存ヘルニアも確実に押さえることができます。
世界的には日々さまざまなメッシュ製品や手術方法が開発されています。
これまでに行なわれた各種メッシュ間の無作為比較試験では、いずれも差が出たことはありません。
その方法に精通した外科医が手術すれば、問題ないということです。
私は、現在ダイレクト・クーゲル法で確信を持って手術しています。
 
ヘルニア専門外来 毎週水曜日 午前9時から11時 午後1時から3時半
一般外科外来 毎週金曜日 午前9時から11時
          第1、3、5土曜日 午前9時から11時
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